2026年7月号<「静かな退職」を考える>


「静かな退職」とは、実際に会社を辞めることではなく、与えられた役割は果たしながらも、必要以上の関与や献身から距離を置く状態を指します。その背景には、仕事と私生活との境界を重んじる価値観の広がりだけでなく、業務負担の偏り、役割期待の曖昧さ、評価への不信、上司・部下間の対話不足など、職場側に課題が潜んでいる場合もあります。

持続的に働くために、自身の役割や働き方を見直すことはもちろん必要です。しかし、不満や違和感が明確に表明されないまま、提案・協力・学習・周囲への支援などの行動が弱まれば、活力が失われ、人材育成が停滞し、管理職の負担が増大していきます。また、表面上は業務が回っていたとしても、信頼感や納得感が徐々に損なわれていくケースも少なくありません。

本特集では、「静かな退職」の意味、背景、兆候、放置した場合のリスク、人事・管理職に求められる対応などを整理します。あわせて、ウェルビーイング、人的資本経営、働く喜び、キャリア意識、幸福度、評価をめぐる判例などを通じて、従業員が仕事や組織との関わり方をどのように感じているのかを考えます。従業員が納得して力を発揮できる職場をいかに形成していくか。

本号がその課題への手がかりとなれば幸いです。



解説編

1.静かな退職をどう捉え、どう向き合うか

2.従業員の関与を支えるウェルビーイングの視点




資料編

1.働くことへの意識と、静かな退職の実態

2.人的資本経営の浸透状況の実態

3.働く喜びとキャリア行動の実態

4.幸福度ランキングに見る日本の現在地




判例編

1.人事評価の低さは違法か

2.降格後の基本給減額は有効か

3.低評価を理由に降格できるか




コロナストレス

連載編

新時代の労働と賃金 (明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)

第17回 日本企業の労働生産性を考える