2022年5月号
<総額人件費管理と業績連動賞与>


「人件費」とは、「従業員給与・手当」「法定福利厚生費」「法定外福利厚生費」「役員給与・手当」など、労務を提供した人たちに配分される全ての費用のことを言います。この人件費は、「付加価値」(売上高と外部購入価値の差額)の中から支払われるわけですが、会社経営の健全化のためには、人件費の総額を適正に管理することが不可欠です。

ところで、「賞与の原資」は、「適正な総額人件費」から、「月例給与」と「福利厚生費」を差し引いた残りの額です。賞与には、生活補給的な意味と業績配分的な意味とがありますが、業績配分的な部分の原資を変動費化してこれを調整弁にすれば、総額人件費を適正に管理できるのです。また、部門業績や個人業績に応じて配分することにより、業績向上・成果拡大のインセンティブにすることもできます。

本号では、「総額人件費管理と業績連動賞与」を特集しています。






解説編

総額人件費管理のための業績連動賞与システムの設計・運用の仕方

鞄本人事労務研究所 代表取締役 久保誠

○業績連動賞与の意義は「会社経営の健全化」と「従業員のモチベーションの高揚」
○成果主義の功罪
○賞与こそ成果主義の業績連動型で!
○一般的な賞与システムの4つの特性
・二面性
・弾力性
・非累積性
・刺激性
○業績連動賞与システムの設計前の検討事項
・賞与算定式のコンセプトの検討
・賞与支給回数とスケジュールの検討
・賞与算定基礎の検討
○会社業績による賞与総額の決定の仕方
○部門業績による賞与配分の仕方
○個人業績による賞与配分の仕方
○業績連動賞与システムの運用上のキーポイント




資料編

1 賞与支給額の実態

○産業別・事業所規模別の2021年夏季賞与額
○産業別・事業所規模別の2021年年末賞与額



2 総額人件費

○産業別・企業規模別の1人1ヵ月あたりの総額人件費
○現金給与と現金給与以外の人件費





判例編

1 達成度評価が不当であることを理由とした賞与請求

2 一時金要求等の団交対応の不当労働行為該当性




コロナストレス

連載編

賃金の諸相(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)

第67回 日本の賃金、アメリカの賃金(1)