2021年2月号<2021賃金改定の行方> | |
2021年の春季労使交渉は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの真只中でスタートしました。この1年間、各国は人々の行動や経済活動を制限せざるを得ず、世界経済は大打撃を受けました。我が国の2020年度のGDP成長率見通しは、名目で▲4.2%、実質で▲5.2%となりました(2021年1月18日閣議決定)が、コロナ禍が終息しない限り2021年度の業績低迷も不可避でしょう。 顧客の生活様式も、企業の収益体質も、商品・サービスのあり方も、従業員の働き方も激変しました。企業は、この環境に対応しながら、事業を継続し、雇用を維持しなくてはなりません。 このような状況下、我が社は処遇をどのように見直すべきでしょうか。 本号では、「2021賃金改定の行方」を特集しています。 解説編 1 2021年の賃金改定のキーポイント 日本人事労務研究所 代表取締役 久保誠 ●2021年の春季労使交渉・協議をとりまく環境 ・新型コロナウイルスとの闘い ・経済の落ち込み ・働き方改革 ●賃金制度の検討課題と確認事項 ・賃金の4原則 ・ベースアップと定期昇給の分離 ・定期昇給システムの見直し ●賃上げのキーポイント ・総額人件費管理の徹底 ・ベア・定期昇給・不定期昇給・賞与 ・自社の支払い能力に応じた賃上げを 2 2021年春季生活闘争方針 連合 ●2021闘争においても「賃金水準の追求」に取り組む ●月例賃金の要求…定昇相当2%+ベア2% ●規模間格差是正の要求…カーブ維持分(4,500円)+ベア金額6,000円=総額10,500円以上 ●雇用形態間格差是正の要求…時給1,100円以上 ●18歳・高卒初任給の参考目標値…175,400 円とする ●一時金…年収確保の観点も含め水準の向上・確保を図る 3 2021年春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンス 経団連 ●「社員の雇用を守ることの大切さ」を労使で再認識する ●「賃金決定の大原則」「総額人件費」の適切な管理が重要 ●業種横並びや各社一律の賃金引上げは現実的ではなく、自社の実情に適した賃金決定を行うことが重要 ●企業の成長・収益の拡大と社員のエンゲージメント向上の実現に向けて日本の労使関係の真価が問われる 資料編 1 2020年 賃金改定の実態 ●所定内賃金の改定額および改定率の推移 ●定昇・ベアの実施状況 ●賃金改定の決定に当たり重視した要素 2 国内経済見通し ●政府の2020年度・2021年度経済見通し ●企業業績見通し 判例編 昇給をめぐるトラブル ●育児休業取得者に対する職能給の昇給停止 ●高年齢社員に対する定期昇給の停止 |