2020年6月号<2019所定内賃金>


新型コロナウイルス感染拡大を受け、わが国の景気は急速に悪化しており、この先も厳しい状況が続くと見込まれています。

企業は休業措置などで従業員の雇用継続の努力を続けるも、持ち堪えられずに泣く泣く解雇・雇止めを選択するケースも増加しています。内定取り消しが話題になるなど求人状況も悪化しており、2020年3月の有効求人倍率(1.39 倍)は前月より0.06 ポイント低下し、今後も低下傾向は続くと予想されます。賃金も雇用と同じく景気の遅行指数ですが、2020年度の賞与決定や2021年度の賃金改定を巡っては、舵取りが難しくなると思われます。

しかし、優秀な人材の確保に窮していた中小企業にとっては、今はチャンスかもしれません。労働市場を意識した賃金戦略を練りたいものです。

本号では、「2019所定内賃金」を特集します。自社の属性や、置かれた環境条件における水準の把握にご活用ください。




資料編

2019所定内賃金

○2019年の男女計の所定内賃金307.7千円。

○2019年の男性の所定内賃金は338.0千円。

○2019年の女性の所定内賃金は251.0千円。

○年齢別
・男性の年齢別の所定内賃金は、年齢階級が高くなるとともに上昇し、「50〜54歳」の423.7千円をピークに、その後は下降。
・女性の年齢別の所定内賃金も、年齢階級が高くなるとともに上昇し、「50〜54歳」の275.8千円がピークとなっているが、男性に比べて上昇の仕方は緩やか。

○学歴別
・男性の学歴別の所定内賃金は、すべての学歴において、年齢階級が高くなると上昇しているが、上昇の傾きは「大学・大学院卒」が最も大きい。また、「大学・大学院卒」のピークは「50〜54歳」の535.2千円、「高専・短大卒」と「高校卒」のピークは「55〜59歳」で、それぞれ400.0千円、349.2千円。
・女性の学歴別の所定内賃金は、すべての学歴において、年齢階級が高くなると上昇しているが、上昇の傾きは「大学・大学院卒」が最も大きい。全ての学歴におけるピークは「50〜54歳」で、「大学・大学院卒」が399.2千円、「高校卒」が291.5千円、「高専・短大卒」が231.3千円。

○企業規模別
・男性の企業規模別の所定内賃金は、すべての企業規模において、年齢階級が高くなるのに伴い賃金も上昇しており、大企業のピークは「50〜54歳」の493.4千円、中企業のピークは「55〜59歳」の402.6千円、小企業のピークは「50〜54歳」の341.8千円。
・女性の企業規模別の所定内賃金は、すべての企業規模において、年齢階級が高くなるのに伴い賃金も上昇しているが、男性と比べると上昇の仕方は緩やかである。

○都道府県別の所定内賃金

○産業別の所定内賃金



判例編

賃金決定をめぐるトラブル


コロナストレス

連載編

賃金の諸相(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)
第44回 コロナ危機と労働・雇用・賃金(1)