2020年2月号<2020賃金改定>


2020年は、米中の貿易戦争の長期化、アメリカの大統領選挙やイギリスのEU離脱、日韓の経済・安全保障の対立など、各国の保護主義化が予想される中で、世界経済の減速・貿易停滞が懸念されています。

国内に目を向けると、夏に開催される東京オリンピック・パラリンピックの経済効果への期待が膨らむ一方で、閉会後の景気悪化も懸念されています。また、人材不足に悩む企業が多い中、2020年4月からは時間外労働の上限規制が中小企業にも適用されるほか、大企業に対する同一労働・同一賃金の実現が求められます。

本号では、このような経営環境下で検討される「2020賃金改定」について特集しています。




解説編

1 2020年春季生活闘争方針
(連合)
○月例賃金について、賃上げ(ベア)要求は2%程度とし、定期昇給分(定昇維持相当分)を含め4%程度とする。
○月例賃金の引き上げにこだわりつつ、年収確保の観点も含め、一時金の水準の向上・確保を図る。


2 2020年春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンス(経団連)
○生産性向上による収益拡大を社員へ還元する「賃金引上げ」と、働き手の職場環境の整備や能力開発に資する「総合的な処遇改善」を車の両輪として位置付け、多様な選択肢の中から自社に適した施策を検討していくことが重要。
○賃金引上げにあたっては、適切な総額人件費管理の下で、支払能力を踏まえ、労使での議論を経て企業が賃金を決定する「賃金決定の大原則」に則って対応する。



3 2020年の賃金改定のキーポイント(日本人事労務研究所)
○2020年の春季労使交渉をとりまく経営環境
○賃金体系・制度改定のキーポイント
○賃上げのキーポイント


資料編
1 平均賃金
○企業規模別・産業別・年齢別・職種別の平均賃金

2 労働力市場
○雇用者数・完全失業率・求人倍率

3 家計・収支
○世帯主年齢別・都市別の1ヵ月間の収入と支出

4 国内経済見通し
○2019 年度・2020 年度経済見通し、企業業績見通し

5 競争力の国際比較
○1人あたり名目GDP・OECD 加盟諸国の労働生産性



判例編
定昇・ベアをめぐるトラブル
○昇給延伸は有効か
○定期昇給を実施する約束はあったか
○退職者にベースアップ分の遡及請求権はあるか



連載編
賃金の諸相(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)
第40回 新卒初任給の動向と課題(6)