2019年12月号
<標準生計費と物価指数>


「賃金の公正化」のためには、仕事・役割・成果に準拠する「労働対価の原則」、能力・職業意識・フレキシビリティに準拠する「労働力対価の原則」、そして生活に準拠する「生活保障の原則」の“3原則”に基づいて検討しなくてはなりません。

「生活保障の原則」を時代遅れとみなす風潮があります。しかしながら、企業は、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」も「最低賃金法」も遵守しなければなりません。また、従業員の生理的欲求や安全・安定欲求を充足させなければ、モチベーションが低下しますから、生産性の観点からも「生活保障の原則」は相変わらず重要です。

本号では、「生活保障の原則」の中心的指標となる最新の「標準生計費と物価指数」を特集しています。




資料編
地域別の生計費と物価指数
標準生計費
標準生計費とは、標準的な生活モデルを設定し、その生活に要する費用について、「食料費」「住居関係費」「被服・履物費」「雑費T」「雑費U」という費目別に算定されたものである(税金や社会保険料等の非消費支出、預貯金、住宅購入等にかかわる借入返済金等は含まれていない)。

○全国の2019年4月の標準生計費
・1人世帯:120,190円
2人世帯137,290円
3人世帯176,770円
4人世帯216,230円
5人世帯255,720円

○主要都市の2019年4月の「4人世帯」の標準生計費
・札幌市189,600円
仙台市216,246円
東京都241,080円
新潟市196,580円
金沢市230,670円
名古屋市221,900円
大阪市209,500円
松江市176,610円
高知市211,550円
福岡市219,680円
那覇市:180,540円

○消費者物価地域差指数
地域間の物価水準を見るのが「消費者物価地域差指数」である。これは、全国の物価水準を100.0とした、各地域の物価水準を指数で示したものである。
・地域差指数が高いのは、東京都区部(105.1)、横浜市(105.1)、さいたま市(102.8)など。
・地域差指数が低いのは、前橋市(96.4)、奈良市(96.7)、佐賀市(96.9)など。


判例編
定昇停止をめぐるトラブル
○年齢給・勤続給の停止の合意は成立していたか
○人件費抑制策としての定期昇給停止は有効か


連載編
賃金の諸相(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)
第38回 新卒初任給の動向と課題(4)