2018年12月号<標準生計費と物価指数>


平成30年も残り少なくなり、賃金改定・労使交渉の時期が近づいてきました。慢性的な人材不足の中で企業が生き残るためには、「賃金の公正化」が必要不可欠です。すなわち、仕事・役割・成果に準拠する「労働対価の原則」、能力・職業意識・フレキシビリティに準拠する「労働力対価の原則」、そして生活に準拠する「生活保障の原則」の“3原則”に基づいて賃金を検討しなくてはなりません。

「生活保障の原則」については、時代遅れとみなす風潮があります。しかしながら、企業は、日本国憲法第25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」も「最低賃金法」も遵守しなければなりません。また、従業員の生理的欲求や安全・安定欲求を充足させなければ、モチベーションや生産性は低下しますから、その観点からも「生活保障の原則」は重要です。

本号では、「生活保障の原則」の中心的指標となる「標準生計費と物価指数」を特集しています。



資料編
地域別の生計費と物価指数

○2018年4月の全国の標準生計費
・1人世帯:116,930円
2人世帯150,690円、
3人世帯186,520円
4人世帯222,350円
5人世帯258,160円
○2018年4月の都市別標準生計費(4人世帯)
・札幌市195,300円
・仙台市:211,545円
・東京都296,040円
新潟市:244,110円
金沢市:261,940円
名古屋市218,960円
大阪市211,610円
松江市246,580円
高知市222,600円
福岡市215,660円
那覇市:177,190円
○都道府県庁所在地別の消費者物価地域差指数(全国平均=100.0)
・地域差指数が高いのは東京都区部(105.1)や横浜市(104.8)やさいたま市(102.8)など。
・地域差指数が低いのは前橋市(96.1)や奈良市(96.4)や佐賀市(96.5)など。




判例編
有期・無期の労働条件格差をめぐるトラブル 
○有期と無期との賞与・物価手当の支給相違は不合理か
○有期と無期との賞与・精勤手当等の支給相違は不合理か




連載編
賃金の諸相(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)
第27回 賃金と物価・生産性