2017年12月号
<2018賃金決定のベースとなる生計費・物価の動向>


公正なる賃金の3原則とは、「労働対価の原則」「労働力対価の原則」「生活保障の原則」だと言われています。

経営側としては、役割の大きさや実際の成果といった「労働」や、能力・職業意識・フレキシビリティといった「労働力」に対して賃金を支給することついて、大きな異論はないでしょう。けれども、「生活保障の原則」については、時代遅れとみなす風潮があります。しかし、企業は、日本国憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」も「最低賃金法」も遵守しなくてはなりません。また、従業員のモチベーション・生産性を低下させないためにも、生理的欲求や安全・安定欲求を脅かさないように努めなくてはなりません。

「生活保障の原則」の基準となるのは、年齢ごとの世帯生計費です。本号では、世帯生計費を把握するために役立つ情報を集めています。



生計費

資料編
1 地域別の生計費と物価指数

〇全国の標準生計費
・1人世帯:116,560円
・2人世帯:178,940円
・3人世帯:199,260円
・4人世帯:219,620円
・5人世帯:239,940円

〇都市別・世帯人員別の標準生計費
 (4人世帯の場合)
・札幌市:206,820円
・青森市:202,250円
・盛岡市:218,840円
・仙台市:254,576円
・秋田市:190,512円
・山形市:196,360円
・福島市:236,730円
・水戸市:234,842円
・宇都宮市:211,296円
・前橋市:197,460円
・さいたま市:329,610円
・千葉市:228,650円
・東京都:279,300円
・横浜・川崎・相模原市:257,360円
・新潟市:246,970円
・富山市:212,396円
・金沢市:257,500円
・福井市:181,710円
・甲府市:235,960円
・長野市:185,270円
・岐阜市:198,320円
・静岡市:200,413円
・名古屋市:233,810円
・津市:221,470円
・大津市:244,830円
・京都市:200,320円
・大阪市:214,080円
・神戸市:191,550円
・奈良市:244,950円
・和歌山市:188,178円
・鳥取市:166,860円
・松江市:196,850円
・岡山市:230,670円
・広島市:207,515円
・山口市:206,781円
・徳島市:241,280円
・高松市: 206,099円
・松山市:191,550円
・高知市:223,880円
・福岡市:230,940円
・佐賀市:226,420円
・長崎市:216,300円
・熊本市:232,837円
・大分市:202,210円
・宮崎市:190,513円
・鹿児島市:194,870円
・那覇市:182,510円


2 地域別の婚姻・出生年齢
〇夫の平均婚姻年齢(2016年データ)
・全国:31.1歳
・北海道:30.7歳
・宮城県:31.0歳
・東京都:32.3歳
・愛知県:30.9歳
・大阪府:31.0歳
・高知県:30.9歳
・福岡県:30.8歳

〇妻の平均婚姻年齢(2016年データ)
・全国:29.4歳
・北海道:29.4歳
・宮城県:29.3歳
・東京都:30.5歳
・愛知県:29.0歳
・大阪府:29.5歳
・高知県:29.4歳
・福岡県:29.3歳



判例編
生計費関連の判例

○生計費の逓減を踏まえた賃上げ額の逓減の合理性
○地方自治法の調整手当を廃止する条例の合理性



連載編

賃金の諸相(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)
第15回 働き方改革と賃金(7)