2017年2月号<2017労使交渉>


日本経済は、雇用環境が改善し、緩やかな回復基調が続いているものの、個人消費や民間設備投資は力強さを欠いています。そこに、トランプ新大統領を初めとする各国の保護主義化が、世界経済の行方に暗い影を落とし始めました。

こうした経営環境下、連合は「2%程度のベースアップ」を要求し、経団連は収益が拡大または改善しつつある企業については「年収ベースの賃金引き上げ」を呼びかけています。他方、政府による社会保障制度改革の推進も待ち望まれています。

本号では、「2017 労使交渉」を特集しています。



解説編

1 政府の賃上げ要請(働き方改革実現会議)


●ベースアップの4年連続実施
●期待物価上昇率も勘案した賃上げ議論


2 2017春季生活闘争方針(連合)

●月例賃金の要求水準はベア2%、定昇含め4%
●中小組合に関する要求水準はベア6,000円+定昇4,500円


3 2017年春季労使交渉・協議に対する経営側の基本姿勢(経団連)

●前年に続き「年収ベースの賃金引き上げ」の検討が望まれる
●賃金引き上げ方法は、定昇・ベア、賞与・一時金の増額、諸手当の整理・見直しなど多様な選択肢の中から自社に適した方法を見出していく必要がある


4 2017年の賃金改定のポイント(日本人事労務研究所 代表取締役 久保誠)

●2016年の賃上げを振り返る
●2017年の春季労使交渉・協議をとりまく経営環境
●賃上げの捉え方
●賃金体系・制度の改定時に確認すべき賃金の4原則
●やはり能力主義の強化による人材育成が重要
●自社賃金を把握するための3側面(個別賃金・個人別賃金・平均賃金)
●賃金システム改定のポイント
●ベア・定昇システムの検討
●2017年の賃上げのキーポイント



資料編

1 2016年の賃金改定


●2016年の所定内賃金の改定額は5,176円、改定率は1.9%
●賃金改定にあたり重視した要素は「企業の業績」がトップ


2 国内経済見通し

●2016年度のGDP成長率は名目1.5%、実質1.3%の見込み
●2017年度のGDP成長率は名目2.5%、実質1.5%の見通し


3 競争力の国際比較

●国際競争力のランキング(日本は26位)
●日本・アメリカ合衆国・中国の名目GDP(米ドル換算)の推移


4 労働力市場

●2015年の完全失業率は3.4%
●2016年10月の有効求人倍率は1.40倍


5 初任給

●大卒者の初任給は男性205.9千円、女性200.0千円
●2016年の初任給決定の判断要因は「世間相場で決めた」がトップ


6 家計・収支

●2015年の可処分所得は427,270円



判例編
賃金体系変更時の賃金減額幅の合理性


連載編

賃金の諸相(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)
第5回 注目される最低賃金(5)