2016年8月号<LGBT社員対応> | |
いま企業経営には、多様性(diversity /ダイバーシティ)を受け入れ、積極的に活かす人事が求められています。マイノリティ(少数者)に対する偏見を無くし、多様性を尊重することが、組織の競争力強化につながることは明らかだからです。 ダイバーシティ推進の対象としては、一般的には女性・高年齢者・外国人・障害者などが挙げられますが、昨今LGBT が含まれるケースも見られるようになりました。LGBT とは、Lesbian( レズビアン)、Gay( ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)の頭文字をとった、性的マイノリティを総称した言葉です。2015 年に鞄d通が全国7万人を対象に実施した調査によると、日本の人口の7.6%(13 人に1 人)がLGBT であると推計されています。この数字は、人事としては看過できないものです。 LGBT をめぐっては、東京都渋谷区が同性カップルを結婚に準じる関係と認める全国初の「パートナーシップ証明書」を交付するなど、社会制度の整備が進み始めています。また、先進的な企業では、LGBT に対する差別を禁止する規定を設けたり、同性パートナーも福利厚生制度を利用できるようにしたり、従業員に対する研修を実施したりしています。 本号では、「LGBT 社員対応」について特集しています。 解説編 1 LGBT社員対応の基礎知識 □LGBT とは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとった性的マイノリティの総称 □LGBTの割合 □LGBTが抱える生活上・職業上の課題 □IT企業A社におけるトランスジェンダー社員への対応 □LGBTにとって働きやすい職場要件・社内施策とは □LGBT問題を放置することの法的リスク □消費者としてのLGBTを対象とした商品やサービス □行政の取り組み 2 LGBTの雇用管理上の法的留意点(井上克樹法律事務所 弁護士 井上克樹) □LGBTに関する法律はあるか。 □採用時にLGBTであるか否か尋ねられるか。採用後はどうか。 □同性パートナーにも家族手当は必要か。 □戸籍上は「男性」、心の性は「女性」の性同一性障害の社員が女性用の更衣室の使用を申し出た。拒否できるか。 □戸籍上は「男性」、心の性は「女性」の性同一性社員が女性の服装で出社した。やめさせられるか。 □同性愛者の社員を、同性愛が罪となる中東地域に配置転換させてもよいか。 事例編 1 野村ホールディングス鰍フLGBT社員対応 □会社主体の取り組み…方針の明示や研修の実施、福利厚生制度の整備、社外イベントへの協賛 □ビジネスシーンでのLGBT対応ケース □社員主体の取り組み…LGBTの理解者・支援者を増やすことを重視 □スピーカーイベントの開催 □LGBTを理解するパンフレットやステッカーの配布 □今後はトランスジェンダーへの対応策を検討 2 インフォテリア鰍フLGBT社員対応 □LGBTのための職場環境の整備の経緯 □LGBTのための職場環境の整備に当たっての葛藤…特別視していいのか、逆差別にならないか □社内規定の家族の対象を拡大 □LGBT研修の実施…LGBTの境遇や職場理解の影響、LGBTへの差別的言動について 3 LGBT研修の実例(取材先:貝etibee) □LGBT・ダイバーシティ研修を実施する企業のニーズとは □研修プログラムの構成…第1部「LGBTとは何か」第2部「性のあり方に関する無意識の偏見」第3部「事例研究」 □自分が持っている“無意識の偏見”に気づいてもらう方法 □受講者の反応 資料編 LGBT社員対応の実態 □企業で導入されているLGBT施策 □LGBT施策の有無と職業選択との関係 □LGBTにとっての理解者・支援者(アライ)の有無とカミングアウトとの関係 □LGBTの学校・職場・公共の場でのトイレの利用時のトラブル |