2016年2月号<2016労使交渉> | |
2016年度の春季労使交渉が本格化しています。近年の景気動向を見ると、2014年度は、消費税率8% への引き上げの影響が思いのほか長引き、実質GDP成長率はマイナス1.0%となりましたが、2015年度の実質GDP 成長率は1.2%、名目GDP 成長率は原油価格の低下等による交易条件の改善もあって2.7%程度になると予想されています。内閣府は2016年1月時点で「景気は、このところ一部に弱さも見られるが、緩やかな回復基調が続いている」と判断しています。 円安・原油安・株高によってグローバルに展開する大企業は増益となる一方で、多くの内需型の中小企業は、原材料高騰や消費増税分の自己負担によって減益に陥るなど、企業間の業績格差がいっそう開きました。また、正規労働者と非正規労働者との賃金格差も依然として縮小していません。さらに、物価上昇に賃金の上昇が追いついておらず、実質賃金は低下しています。 このような経営環境下、連合は2%程度のベアを要求しています。これに対し経団連は、「大企業の多くが2年連続でベースアップを実施したという事実を踏まえ議論することが重要である」としながらも、「経済の好循環を回すという社会的要請を受け、2015年を上回る年収ベースの賃金引き上げについて前向きで踏み込んだ検討が望まれる」と述べています。 本号では、「2016 労使交渉」を特集しています。 解説編 1 希望を生み出す強い経済実現に向けた緊急対応策(経済財政諮問会議) □個人消費の増加には賃金引き上げが必要 2 2016春季生活闘争方針(連合) □月例賃金の要求水準はベア2%、定昇含め4% □中小組合に関する要求水準はベア6,000円+定昇4,500円 3 2016春季労使交渉・協議に対する経営側の基本姿勢(経団連) □経済の好循環を回すという社会的要請を考慮し、前年を上回る「年収ベースの賃金引き上げ」の検討が望まれる □賃金引き上げはベア・定昇だけでなく、賞与・一時金、諸手当、教育訓練施策充実などさまざまな方法がある 4 2016賃金改定のポイント(日本人事労務研究所 代表取締役 久保誠) □2015賃上げを振り返る □2016春季労使交渉・協議をとりまく経営環境 □賃上げの捉え方 □賃金体系・制度の改定時に確認すべき賃金の4原則 □やはり能力主義の強化による人材育成が重要 □自社賃金を把握するための3側面(個別賃金・個人別賃金・平均賃金) □賃金システム改定のポイント □ベア・定昇システムの検討 □2016賃上げのキーポイント 資料編 1 国内経済見通し □2014年度のGDP成長率は名目1.5%、実質△1.0% □2015年度のGDP成長率は名目2.7%、実質1.2%の見通し |