2015年12月号<諸手当の実態>

手当とは、“特殊な状況にある者のみ”を的確に狙って支給する賃金です。賃金とは、企業にとっては“労働対価”、社員にとっては“生活保障”であり“モチベーション”でもあります。このような意義・目的が見出せないような手当や、対象者が絞り込まれていないような手当があるとすれば、賃金管理にとってはマイナスです。

一例を挙げると、配偶者手当のシステムは、税制・社会保障制度とも相まって、「配偶者が働いた方が、世帯所得が低下する(割に合わない)」というゾーンを作ってしまい、女性が労働時間を抑制する要因になっています。昨年12月の政労使会議においても、こうした点の見直しが提言され、すでにいくつかの民間企業が配偶者手当の廃止と子供手当の増額を決めました。

本号では「諸手当の実態」を特集しています。


解説編

諸手当の見直しのポイント(日本人事労務研究所 代表取締役 久保誠)

□手当とは
□賃金とみなされる手当
□賃金とみなされない手当
□賃金ではあるが時間外割増賃金の算定基礎に算入しない手当
□手当の賃金論的な意味
□手当の賃金論的な狙い
□必要とする者に的確・公平に手当を支給するためには
□手当をインセンティブとするためには
□諸手当の検討の手順
□諸手当の意味と検討ポイント



資料編

諸手当の支給状況

□導入率が高いのは「通勤手当」、「役付手当」、「家族手当、扶養手当、育児支援手当」など
□所定内賃金に占める諸手当の割合
□業績手当の導入割合と支給額
□役付手当の導入割合と支給額
□部長・課長・係長の役付手当支給額
□産業ごとの部長・課長・係長の役付手当支給額
□特殊作業手当の導入割合と支給額
□特殊勤務手当の導入割合と支給額
□技能手当、技術(資格)手当の導入割合と支給額
□精皆勤手当、出勤手当の導入割合と支給額
□通勤手当の導入割合と支給額・支給上限額
□家族手当、扶養手当、育児支援手当の導入割合と支給額
□配偶者・第一子・第二子などの家族手当支給額
□配偶者手当の支給要件
□配偶者手当の見直し予定
□地域手当、勤務地手当の導入割合と支給額
□住宅手当の導入割合と支給額
□扶養家族の有無別の住宅手当の支給額
□住宅の形態別の住宅手当の支給額
□単身赴任手当、別居手当の導入割合と支給額
□単身赴任手当の支給形態
□単身赴任者に対する帰宅費用
□寒冷地手当、食事手当などの導入割合と支給額 


判例編
@定額残業代としての営業手当は有効か
A別居手当等の支給打切りは合理的か
B販売手当は時間外割増賃金としての性格を有するか



連載編

公正な賃金(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)
第91回 正社員、非正規社員の均等賃金を実現する制度(3)