2015年5月号<働き方の多様化> |
「ワークライフバランス」や「仕事と生活の調和」は、日本社会のキーワードの一つとなっています。しかし、その意味(定義・目的・内容・イメージなど)は、「少子化対策」「男女共同参画対策」「長時間労働対策」「メンタルヘルス対策」「非正規労働者対策」「生産性向上対策」「福利厚生拡大対策」といった具合に、十人十色で捉えられています。 ワークライフバランスを考える際は、まず、言葉の意味について、労使の認識を一致させなくてはなりません。例えば、「ワークライフバランスとは、社員が仕事上の責任を果たすことができるとともに、生活上の要望等を実現できる状態を言う」などといった具合にです。 その上で、「このような状態にしていくためには、“働き方・休み方のバリエーション”をどう設定すべきか」を考えていきます。その際、「“働き方・休み方”の実態はどうなっているか」「“生活上の要望”はどうなっているか」を把握すること、「“仕事の進め方”をどう工夫・改善するのか」「“職場の理解”をどう形成・浸透させていくのか」「メリット・デメリットは何か」を検討することなども必要となります。 本号では、「働き方の多様化」を特集しています。 解説編 @ワークライフバランスの捉え方 ・ワークライフバランスに関する誤解(一橋大学大学院教授 守島基博氏) □みんながワークとライフをバランスさせなければならない? □ワークライフバランスは働き方の変革を引き起こす? □ワークライフバランスは企業の競争力を向上させる? ・ワークライフバランスの定義(中央大学大学院戦略経営研究科教授 佐藤博樹氏) □ワークライフバランスに必要な3つの取り組み □ワークライフバランス支援を考える際の注意点 など A働き方・休み方の実態把握の仕方 □厚生労働省が開発した診断ツール Bテレワーク導入・運用のポイント □テレワークにはどのような効果があるか □在宅勤務を導入する場合、労働契約や就業規則を見直す必要はあるか □テレワークを導入する場合の労働時間や人事評価制度 □セキュリティ対策にはどのようなものがあるか など Cワークライフバランス支援のための助成金 □職場意識改善助成金(職場環境改善コース/テレワークコース/所定労働時間短縮コース) □キャリアアップ助成金(多様な正社員コース) など 事例編 @サイボウズ梶F選択型人事制度 □社員がライフスタイルの変化に応じた働き方を選択できる制度 □「時間」と「場所」という軸に基づいた、9種類の働き方 □グループウェアを活用した情報共有 など A潟mバレーゼ:「部下の有休休暇取得率100%」を部門長目標に □休暇での経験から吸収したものを、仕事に活かす □トップダウンで方針を示し、部門長に必須目標として義務づけ □部門長目標設定から達成までの概要 □目標達成率の評価/部門長の処遇への反映 など B翫ト栄クリエイト:旅行休暇制度 □メリハリあるワークスタイル実現のために休暇の充実を □休暇を取得しない人が、取得できるように □旅行休暇制度の対象者/日数/回数/会社からの補助 □制度適用を受けるための旅行の条件 など 資料編 @働き方の多様化への企業の取り組みの実態 □ワークスタイル変革に関しては、「変革のニーズは感じているが、実施には至っていない」が最多 など A働き方に関する個人の意識 □目指す働き方は、男女ともに「仕事と生活のバランスをとる」がトップ など 判例編 @就業時間中の私用メールは職務専念義務違反か A社員のメールに対する調査は合理的か B旅行の添乗業務は「労働時間を算定し難いとき」に当たるか C育児休業終了後の社員を以前の副主任に復帰させないことは不利益な取扱いか 連載編 @ 【新連載】歌に見る日本人の心(日本人事労務研究所 所長 久保淳志) 第1回 「4月7日の桜」と日本人の絆 A 公正な賃金(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄) 第84回 非正規社員の公正処遇(2) |